ドンはもう当てにできない。二人を相手に孤軍奮闘するパンサー・ミミ。卍固めでナイトメアを捕え、強靭な脚力で首を締め上げる。
「どう、ギブアップ?」
「ぐうっ。」
たまりかねて、ララ・ザ・クラッシャーがカットに入る。いつもなら、ここでパートナーのSAYURIが素早くフォロー、ララを抑えるのだが。
「ドン、早くララを止めて!」
「OK、チャンピオン。」
ミミの指示で、ドン・ポーゴもリングイン。
「ドン、行くよ!」
ララの呼びかけに呼応。リングの対角線上を助走したララとドンのサンドイッチ・ラリアットがミミの首を挟撃!
「ぐはっ!いったい何が?」
「悪いねチャンピオン。『デーモン・クロー』に味方すれば、あんたの体、好きなだけ触っても良いって言われたんだよね。へへへ。」
WSMヘビー級チャンピオンのパンサー・ミミ。今日は『デーモン・クロー』のララ・ザ・クラッシャー、ナイトメア組相手のタッグマッチだ。強敵を相手にいつもならパートナーはSAYURIのはずだが、『デーモン・クロー』の卑劣な罠にはまり負傷休場中。なんとSAYURIの代わりのパートナーに抜擢されたのは三流ヒールのドン・ポーゴ。ベビーフェースとヒールのタッグはWSMでは異例の組み合わせだ。
「ドン!良い?ピンチになったら、すぐタッチするのよ!」
(この人、どこまで役にたつのかしら?)
「OK! まかせときな、チャンピオン。」
ミミの悪い予感は的中。WSMヘビー級王座の次回挑戦者の最有力候補とも噂される実力者ララ・ザ・クラッシャーの前に、ドン・ポーゴは手も足もでない。
「ドン、早く代わって!」
タッチを受けて、リングインするや否や、WSM一と評される高さと美しいフォームをほこるミミのドロップ・キックが炸裂!
スーパーヘビー級の男子レスラーも参戦するWSMマットで、パンサー・ミミが名実ともにトップをはれる秘密は、高いテクニックと抜群のスピードを支える足のばねにあるのだ。
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